顔を出すイルカの動画 バブルリングとは?
 バブルリングは水中で泡がドーナツ型(リング状)になったものです。バブルリングはスクーバダイバーにはよく知られた現象です。ベテランダイバーは口から空気を吐いてバブルリングを作ります。また、一部のイルカも噴気孔から空気を出してバブルリングを作るそうです。バブルリングがゆっくり青い海の中を浮上していくさまは非常にきれいなものです。

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 通常、水中に空気を放出しても気泡はリング状にはなりません。気泡は表面張力によって球形になろうとするからです(球形は最も表面積の少ない形です)。 バブルリングを形成している空気は図で示した方向(リングの内側から外側に向かう方向)に回転しています。そのためリングの形状が保たれます。 そして、形状がリングであることが回転を安定させます。バブルリングはある種の渦巻であり、流体力学的には渦輪(うずわと読むそうです)と呼ばれる現象です。バブルリングは横方向の渦の両端がつながることによって形成されたリングであると考えることができます。つまり、渦の中心の空気の部分こそがバブルリングなのです。

 バブルリングは一定量の空気を瞬間的に上方向に向かって放出することで作ることができます。ただし、バブルリングはいくつかの条件が揃った場合のみ形成されます。ダイバーが口という放出口から空気を放出すると、放出された気泡の中央部と周辺部で速度差が生じます。速度は中央部が速く、周辺部では放出口の縁に近づくほど遅くなります。そのために、放出口から放出される瞬間に気泡は中央部が高く周辺部が低いろうそくの炎のような形になります。

 放出口から出ると気泡の先端部分は水の抵抗を受けて速度が遅くなりますが、下からはまだ勢いよく空気が供給され続けます。その結果、気泡の中に内側から外側に向かう渦が発生し、同時に気泡は横に広がり始めます。気泡が放出口から離れると、気泡の浮上する動き、横方向へ広がる動き、そして気泡内に発生した内側から外側に向かう渦によりリング状になります。これがバブルリングです。


写真は水中に放出した気泡がバブルリングになる様子を連続撮影したものです。
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